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2006年6月19日 (月)

第8回

*ボキャブラリーの再構築、いったん最終章*

前回の最終問題、その解答例。

・メッセージ = 伝言、伝言板、通知、宣告 etc
・コントロール = 制御、管理、統率、支配 etc
・アンテナ = 通信装置、無線、電波、携帯 etc

本文中にあったこれらの言葉、気づく事ができましたか?
今回はいよいよ『ボキャブラリーの再構築』編、最終章?
筆者の考える『究極の言葉探し』に触れたいと思います。

『ずっと そばにいて』

普段使うと大胆なセリフ(←カタカナ語!)も歌詞なら
違和感なし。当ブログの内容をすべて実践してこられた
貴方にとっては逆にありきたり?でもそこが作詞の魅力。
恥ずかしくとも、つまらなくとも、とにかく書くべし!
では問題。

『○○○ そばにいて』

上記○に相応しい「ずっと」以外の言葉をひとつ挙げよ。

『語感』から「もっと」、『類語』だと「いつも」等々…
皆さんにはどのような言葉が思い浮かびましたか?
(「あなた」だと『演歌』っぽく感じるのは筆者だけ?)

さてここからが本番です。先程の問いはあくまで練習問題。
これが実際『作詞』する場合、先程の問いはこうなります。

上記○に相応しい「ずっと」以外の言葉を『すべて』挙げよ。

さあ貴方はいくつ言葉をイメージできたでしょうか?
もしそれが仮に貴方にとって思いつく『すべて』でも
それはあくまで貴方の持つボキャブラリーの範囲での
『すべて』であって、上記のフレーズが持つ可能性の
『すべて』ではありません。ではどうすれば「○○○」
の持つ可能性の『すべて』を探る事ができるか…実は
その答えは驚くほど簡単。以下にその答えを記します。

『特定の文字を五十音順(あいうえお順)にすべて置き換えてみる』

英語が「アルファベット」の組み合わせであるように、
日本語はすべて「ひらがな」で書き表す事ができます。
その一字一句を順番に、機械的に置き換えてみると…

例)「ずっと」「もっと」=『○っと』と考え(○→特定の文字)
  『○』に『あ』から『ん』まですべてを当てはめる。

あっと=@
いっと=It
うっと=?
えっと=「えっとぉ」
おっと=夫
かっと=Cut/カット
きっと=!(使えるかも)…以下同様に。

この取り組みによって、理論上はすべての言葉の可能性に
辿り着く事ができます。ただしあくまで機械的な作業の為、
生まれた言葉の大多数は無意味だったり、意味はあっても
後に続く言葉(今回は「そばにいて」)に合わない事も…。

なので筆者は文字を置き換える度にその『生まれた言葉』
を実際発音し、そこから直接、聞き覚え(または口覚え?)
のある「別の言葉」を発想したり

『きっと』→「じっと」 『もっと』→「そっと」

今度は逆に見つけた言葉の後に続く言葉を変更してみたり

「もっと…そばにきて」 「じっと…みつめてて」

比較的自由に取り組みつつ、いざという時は徹底的にやる!
という感じです。ちなみにどの文字を置き換えるべきかは
(『いつも』→「なつも」「いまも」「いつか」のように)
その時々のヒラメキや状況によって様々…でもだからこそ
常に創作の楽しみ、発見の喜びが持続するのだと思います。

ボキャブラリーに限らず、ものを作る上で最も重要なのは
『人間一人の力には限界がある』という事実を認め、その
壁をどう乗り越えて行くか。当ブログの内容が、皆さんの
真に「豊富な」ボキャブラリー作りに役立つ事を願いつつ
次回も更に『作詞』の面白さ、奥深さについて述べたいと
思うのですが…いかがでしょう?

では『ボキャブラリーの再構築』編、最後を飾る問題です。
(今回は解答例を挙げますので次回答え合わせはナシです)

・『世の中に流通する歌詞』に用いられた事のある
・『語感(語音数)』が「三文字(○○○)」で
・『表記』が「漢字一文字」の
・『名詞』

上記すべてに当てはまる言葉を、最低10個以上挙げなさい。

例)嵐、命、噂、男、絆、心、栞、翼、瞳、昔 etc


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一文字説法 観音のこころ

私自身は無宗教ですが、あえていうなら
『音楽教』の信者かと…ビバ『観音』様。

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2006年6月12日 (月)

第7回

*ボキャブラリーの再構築、その3*

前回挙げた『品詞』という視点の他、筆者が実際過去に
行ってきたボキャブラリーの再構築、その実例を以下に
記します。

1)表記

日本語は英語と違い『ひらがな』『カタカナ』『漢字』
『ローマ字』等、色々な書き方ができます。同じ言葉や
メッセージも、その書き方(=表記)によって聴き手に
(読み手?)与える印象が全く異なってきます。例えば

桜 / さくら / サクラ / SAKURA / a cherry blossom(英語)

これらが示す通り、おそらく日本語は世界にも類を見ない
多種多様な表記方法を持つ言語であり、その魅力をいかに
コントロールし、またこだわるかが作詞の腕の見せ所かと。

ではここで問題。今この瞬間思いつく全てのカタカナ言葉
(=カタカナ語)を書きなさい(例『マリック』…きてます)。

続いて、例えば思いついた言葉の「語感」から連想すると

トリック ロジック マジック パニック etc

と、これまで「知って」いたのに「見落とし」がちだった
言葉にも「気づく」事ができるはずです。

更に『外来語』や『専門用語』等々、意識を広げてみると

リズム メロディ ハーモニー リピート etc

のように、例えば日常的に使われる『音楽用語』の存在に
気づいたり…そこから更に同じ意味合いを漢字に置き換え

メロディ=旋律 ハーモニー=調和 リピート=反復

と、通常の思考ではたどり着けなかったはずの言葉にまで
思い至る事ができればしめたもの。

大切なのは、これら『言葉の発見』をいざ作詞する段階で
行うのではなく、あらかじめ日々準備しておく事。筆者は
今でも見知らぬ言葉との新たな出逢いを求め、常日頃から
アンテナを張り巡らせています。

では改めて問題。今回ここまでに登場した『カタカナ語』
を全て書きなさい(本文中の何気ない言葉にも要注意!)。

2)類語

例えば「太陽とは?」との問いに貴方ならどう答えますか?
太陽系の中心?恒星?それとも地球上生命体全ての光熱源?

どんな辞書も、ある言葉の意味を説明する際には必ず
『その言葉と関係のある別の言葉や表現等』を使って
説明するはず。そういった関連する言葉同士を『類語』
(=本来「語形は異なるが意味の似通った言葉」の意)
と呼びますが、それと同様に筆者は作詞をする際必ず
一度思い描いた言葉に対してそこから更に意識を広げ
別の言葉の可能性(=類語)を探るようにしています。
例えば

太陽→お日様→日射し→光 / 影→闇夜→星空→月 etc

『同じ意味を持つ言葉』から『関連する言葉』等を経て
最後は『反対の意味を持つ言葉』まで言葉をリンクさせ、
すでに頭にあるボキャブラリーを「再構築」する訳です。

このように様々な視点で同じ対象物(もしくは感情)を
違う言葉で表現する能力は、先程挙げた『1)表記』や
前回の『品詞』と同様、我々が普段から身につけるべき
『作詞力』の一つだと思うのですが…いかがでしょう?

では本日最後の問題です。先程書き出した『カタカナ語』
全てを漢字に置き換え、更にその言葉に関連する『類語』
を可能な限り書きなさい(次回『究極の言葉探し』に続く)。

<追記>
ちなみに当ブログはあくまでより良い作詞を実現する為の
筆者個人の考えを提案する場であり、正しい日本語用法や
語学的見地を必ずしも示す物ではない旨予めご了承下さい。


*今日のアフィリエイト*
日本語擬態語辞典

例えば他にもこんな視点がございます。
日本語の国に生まれて本当によかった。

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2006年6月 5日 (月)

第6回

*ボキャブラリーの再構築、その2*

前回の宿題、その解答例。  注( )=語音数

『未来(3)』=『これから(4)』『先(2)』
『過去(2)』=『これまで(4)』『昔(3)』

また「現在過去未来」を「今日昨日明日」と言い換える
パターンも歌詞界ではよく見受けられます。このように

いかなる音数(メロディ)でも同様の意味合いが表現可能

である事を理解し実行出来ると、より自分の想いや意図に
忠実な詞が書ける可能性が高まる訳です。その為に筆者は
前回「言葉」の持つ二面性(語感と意味)を挙げましたが
今回はそれらを更に詳しく見つめ、既に我々が身につけた
ボキャブラリーをより『使える』状態に整理整頓する事を
目指します…Are you ready?

本日のお題 → 『愛しさと 切なさと ○○○○○○と』

我が国のバブル期を代表する楽曲を想像した貴方、ここは
まず素直に思い浮かんだ言葉で○の中を埋めてみましょう。
(浮かばない貴方は上記フレーズをWeb検索すると…ほらね)

日常生活で、まれに「心強いわ」と口にする事はあっても
『心強さ』という単語を頻繁に使う人はそういない(はず)。
その事だけみても上記フレーズは歌詞として貴重な「発見」。
(空欄を是非「こころづよさとぉ」と熱唱してみて下さい)

そして心強さとは「心」+「強さ」である事にも注目です。
もし上記空欄を『強い心』と作詞したとしたら…『心強さ』
の時に得られた『韻』を踏む快感が完全に失われてしまい
(韻を踏む=音声末尾の響きを統一する事。上の場合「さ」)
意味もさることながら、見た目のインパクト等せっかくの
「発見」が台無しです(『視覚』の重要性については次回)。

日本語の場合『韻』にこだわるという事は即ち『品詞』を
意識するという事に他なりません。品詞とは各単語をその
役割や用法によって、名詞動詞形容詞等に分類する「タグ」
(ここはWeblog、なのでタグの意味はあえて解説しません)
のようなものですが

動詞=末尾の響きが「ウ」行(愛す、愛する、愛おしむ etc)
形容詞=末尾の響きが「イ」行(愛しい、切ない、強い etc)

のように、品詞にはそれぞれを象徴する決まり事が存在し、
例えば本日のお題のように

愛しさ 切なさ 心強さ → 語尾を「さ」に変換=名詞

と、言葉を品詞で「括る(くくる)」事により、語感(韻)
をコントロールする(=メロディに寄り添う)事、そして
同様の意味合いを違う言い回しで表現(=イメージを喚起)
する事が可能となる訳です。

例)愛(2) 愛す(3) 愛しい(4) 愛おしさ(5)

ボキャブラリーとは貴方だけが持つ『My辞書』のような物。
是非今回の「品詞」の例を参考に、貴方独自の『タグ付け』
により、頭にある言葉の全てを作詞に活用しやすい状態に
『再構築』してみては(これぞまさしくフォークソノミー?)
いかがでしょう?


*今日のアフィリエイト*
「スーパー一人ごっつ」 Vol.1

特にコント「手配中」こいつを外す訳には
いきません。爆笑なのになぜか目から鱗が。

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