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2006年5月29日 (月)

第5回

*ボキャブラリーの再構築、その1*

さて今回はいつにも増して、楽しく元気に参りましょう。

『○○○の歌が きこえてくるよ』

例えば上記○○○部分に「カエル」と当てはめてみます。
そう、皆さんご存知のあのメロディです。聴こえますか?

では聴こえたメロディにはどんな歌詞が続きますか?
大抵の方がクヮとかグヮ、ケロケロやゲロゲロといった
カエルにまつわる言葉をイメージするはずです。
(違うという貴方、コメントお待ちしております)

「そんなの元々知ってただけで作詞じゃない」という貴方。
今度は○○○部分をカエルではなく「たわし」と当てはめ
再度歌ってみましょう。聴こえますか?たわしの歌(笑)。

では聴こえたメロディにはどんな歌詞が続きますか?さあ、
ここから先は百人いたら百通りの答えがあってしかるべき。

『ゴシ ゴシ ゴシ ゴシ』『ゴシゴシゴシゴシ』と来て
『ゴシ ゴシ ゴシ』…って、全部「ゴシ」かい!

と、あえてゴシ押ししましたが、これも立派なたわしの歌。
でもそれじゃあんまりだという貴方は、ここからどう考え
「○○○の歌」を『作詞』するのでしょう?

『たわし』にまつわる「ゴシ」以外を考えた場合、例えば
「シャカシャカ、キュッキュッ、ツルツル、ピカピカ」等
があるとして、それらをいい感じで当てはめ…ん?待てよ。
ここで言う「いい感じ」とは一体どういう事を指すのか…。

そう、ここで貴方は前回筆者が述べた

a.歌詞は歌われる『メロディ』に寄り添うべきである

を無意識に実行しようとするはずです。その「歌い心地」
を損なわず当てはめられるゴシ以外の言葉…貴方にとって
上記四つの例えなら、どれが最も相応しいと感じますか?
きこえてくるよ…シャカ、キュッ、ツル、ピカ…他の案も
歌いつつ、貴方だけの「たわしの歌」を完成させましょう。

更に○○○を今度は「お風呂」に変えると全体の雰囲気は
どう変わりますか?洗ってるのは風呂釜?それとも身体?
ツルツルピカピカはお肌?それとも頭?だったらツルピカ
よりサラサラとかフサフサの方が良いですか?次○○○を
「あなた」としてみて下さい。あなたの歌がきこえてくる、
さあ貴方は後半部分をどうしたいですか?「ツルピカ」は
さすがに相手に失礼ですし、真面目な作詞とは思えません。
いっそ「歌」を「声」にして『あなたの声がきこえてくる』
とすればより一般的な歌詞らしくなりますね。では最後は
「グヮグヮグヮ」ではなく『アイラブユー』で締めますか?
さあ自由に創作して下さい、前半に相応しい後半部分を…。

そう、ここでの貴方は先程のa.に加え、前回筆者が述べた

b.歌詞は聴き手に『イメージ』を喚起するべきである

を無意識に行っているのです。聴き手を傷つけない事や
全体のストーリーに統一感を持たせる事…選択肢は全て
貴方自身の感性が選ぶ、貴方自身のボキャブラリーの中
にしかありません。で、ここまでを踏まえて今回の結論。

言葉には「語感(発音)」と「意味(内容)」の二要素がある。

上記二要素をいかに使いこなすかが即ち『作詞』なのです。
ではここで本日の宿題。 

『かこ』『みらい』それぞれの時制を表す別の言い回しを
下記を参考に二、三、四文字(語感)で計三つずつ答えなさい。

例)げんざい=四文字、いま=二文字、トゥデイ=三文字

気になる答え合わせは次回という事で…いかがでしょう?


*今日のアフィリエイト*
おふろでカエルさん

筆者は創作に行き詰まるとなぜか無性に入浴
したくなる…そんな作家、実は結構多いはず。

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2006年5月22日 (月)

第4回

*そもそも歌詞とは、そして良い歌詞とは*

どんな名画家も初めは被写体の模写から始めるように。
どんな名料理家も最初は素材の吟味から始めるように。

前回の内容を真に受け実行して下さった皆さんは既に
沢山の歌詞言葉を『身につけて』いるはずです。もし
歌詞カードでは飽き足らなくなった貴方は他の様々な
活字媒体(雑誌、小説、漫画、詩集、各種コピー等々)
からも同じように書き写し、言語体験を続けて下さい。
(やがて目にする言葉すべてが対象になる…完璧です)

すると、貴方の心のビーカー(フラスコ?)にはもう
あふれんばかりの歌詞言葉が今か今かと出番待ち状態。
さあ後は実際に『作詞』するだけ…と、ちょい待った。

ここで皆さんに提案。その言葉達、一度忘れましょう。
そして今一度、作詞の『三原則』(第2回参照)へと
立ち返り、今度は

『2)守るべきルールの意識』

について述べさせて下さい。そうする事で、貴方の中の
ボキャブラリーは更に強化され、真に『使える』ものに
なります。(物事の理解には何事も『順序』が大切…)
で、今日の結論。

『歌詞とは「歌」われるべき「詞(ことば)」である』

この事は作詞の際、まず念頭に置くべき絶対的ルールかと。
(ここでは葉書や歌詞集の類いはあくまで副産物とします)

歌詞は『歌声』によって『聴き手』に届いた時、初めて
この世に生み出された意味を持つのではないでしょうか。
(歌唱のない『歌もの』BGMにも作詞印税は発生しますが)

そこから導き出される『作詞のルール』として、筆者は
以下の二つを挙げたいと思います。

a.歌詞は歌われる『メロディ』に寄り添うべきである
b.歌詞は聴き手に『イメージ』を喚起するべきである

歌手は歌いづらいより歌いやすい方がいい。その歌を
聴き手は聴き取りにくいより聴き取りやすい方がいい。
そして勿論、意味不明な歌詞より感動できる方がいい。
メロディが『ラップ』でも、イメージが『感情』でも
構いません。要は作品をより『価値』あるものにする、
その為のルール設定です。

そこでこの『作詞の教科書』では上記a.b.を果たす歌詞を
より価値ある『良い』作品だと定義します。そして上記を
踏まえた貴方が、身につけたあふれ出るボキャブラリ−を
どう作詞に活かして行けば良いのか…その方法を次回より
更なる具体例と共に詳しくお伝えしようと思うのですが。
いかがでしょう?

*今日のアフィリエイト*
U2詩集

国内の活字すべてを制覇した粋な貴方。
お次は異国の歌詞言葉に触れてみては?

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2006年5月15日 (月)

第3回

*作詞家の正しい!?ボキャブラリーの増やし方*

前回「歌詞らしい」「歌詞に相応しい」「歌詞に適した」
言葉とは何かを問いました。で、筆者の答えがこれです。

『世の中に流通する歌詞に用いられたすべての言葉』

禅問答のようですが『真理』です。なぜなら少なくとも
この世に商品として流通する歌詞はすべて、作者以外の
第三者が歌詞としての価値を認めたからこそ作品として
存在し得る…そしてその真理に気づいた瞬間、我々作詞
を志す者がすべき最初の取り組みは決まったも同然です。

『自分が心動かされた歌詞をすべて書き写す』…これだけ。

本当は流通する歌詞すべてと言いたい所ですが無理は禁物。
手元にある、自腹で手に入れた歌詞から始めてみましょう。
ただしこれにはコツがあります。ただ書き写すのではなく、

『自分が詞を書く時には思いつかなかったであろう言葉』
『その詞に出逢わなければ普段絶対浮かばないフレーズ』

だけをノートに手書き(推奨)でひたすら書き写すのです。

これを続ける事で自分の『ボキャブラリー』にある変化が
訪れます。目にする言葉すべてが『思いつくはずの言葉』
にある日突然様変わりするのです。筆者の場合、それは約
一ヶ月半後に訪れました。どの歌詞を見ても書き写すべき
言葉が見当たらない…例えば『自由になりたい』と歌詞に
書いてある。「自由」「なりたい」両方意味は判る。けど
そう作詞した経験はない。だから『書く』。また別の日に
別の歌詞を見る。『僕らの自由』と書いてある。また書く。
『自由なき理由』語感が面白いかも…また書く。そうして
ノートの至るページに『自由』という言葉があふれてくる。
(無論それ以外の言葉も)そしてある日突然気づくのです。

「そうそう『自由』って言葉、歌詞によく使われるよね」

おめでとうございます。貴方は無事『自由』という言葉が
『詞を書く時に当たり前の言葉として浮かぶ』思考回路を
手に入れたのです。普段知っていたはずの『自由』という
言葉。けど『知っている』だけでは『作詞』には使えない。
言葉はそれを扱いたいタイミングで思いつかなければダメ。
日常会話で『自由になりたい』なんてフレーズ、なかなか
使わない。けどその気持ちは皆確かにある…だから多くの
歌詞に『自由』という言葉が登場する。それを当たり前に
思いつく自分になる…これは他人の歌詞のおいしい箇所を
そのまま引用する事(いわゆるパクリ)とは訳が違います。
(歌詞言葉を自分という器に一度取り込み消化する感覚?)

目標は『作詞時に歌詞らしい言葉を勝手に思いつく』頭脳。
『歌詞体験』(日常生活では得られぬ言葉のインプット)
とも呼べる経験を糧にやがて手書きノートは卒業。最後は
自分の発想のみでいざ勝負…そんな来るべき日を目指して
貴方もまずは『やってみる』という事で。いかがでしょう?

*今日のアフィリエイト*
landscape

たまには自身の作品を(カラオケでも歌えます)。
これを聴いて死を思い留まってくれたファンの方、
お元気でしょうか。

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2006年5月 8日 (月)

第2回

*作詞をするために必要な三つのこと*

さて今回からより具体的な内容を記そうと思います。
で、いきなりですが、まず結論。

『作詞』とはすなわち「歌詞」を「作る」ことである。

…恥ずかしいくらいそのまんまですね(けど重要です)。
ではいったいどうすれば『作詞』出来るようになるのか?
筆者の考えを以下に簡単にまとめてみました。

1)豊富なボキャブラリー
2)守るべきルールの意識
3)オリジナルな表現方法

「1)」から「3)」までをいかに身につけ実践するか、
それが『作詞力』の全てと言っても過言ではありません。
とはいえ、筆者が長年取り組んだ末に辿り着いた作詞の
『三原則』ですので、その実多様な中身を含んでいます。
(それが前回でいうところの『ノウハウ』になる訳です)
そこでまず今回は、筆者がなぜ上記三つの項目を最初に
挙げたか、その思いをできるだけ噛み砕いてお話します。
(ここからは貴方の想像力が頼りです… Are you ready?)

例えば今ここに、生まれたばかりの赤ん坊がいるとします。
(あえて性別は問いません)その赤子に紙とペンを手渡し、

「さ、ほれ、詞を書きなさい」 …(- -;)
 
ム、ムリですね、残念ながら。ではなぜ無理なのか?
答えは簡単。そう、その子はまだ『言葉』そのものを
知らない。…呆れてませんか?当たり前すぎますか?

やがて時は流れ、その子は少しずつ言葉を覚え始めました。
ママを見て「マぁマ」、パパを見て「マぁマ」…これでは
まだ無理ですね。更にすくすくと成長したその子、子犬を
「ワンコ」猫なら「ニャンコ」と呼び、道端の郵便受けを
「ポスト!」と指差すまでになりました。さあ、そろそろ
紙とペンを渡してみますか?それとも初恋の味を知るまで
待ちますか?その子は日記をつけ始め、大好きな相手には
手紙で愛を告白。社会の常識と多少の嘘を身につけ、もう
日常生活で自分の言葉に不自由を感じる事はありません。
さて、いよいよ紙とペンの出番でしょうか?それともまだ
足りない?いっそ辞書でも買って言語学者を目指すとか?

『作詞』をするのに必要な年齢制限や資格は存在しません。
ただ我々が理解しなければならないのは、普段生きる上で
身につけた「言葉」はあくまで「生活」の為の言葉であり、
『作詞』する為の言葉ではないという事。いくら思い通り
物の名前や胸の内を言葉にしても、それだけでは歌詞には
ならないのです。貴方が手に入れるべきもの、それは正に
「歌詞らしい」「歌詞に相応しい」「歌詞に適した」言葉。
それらを自由に扱える力を持たなければ作詞はできません。
筆者の思う『豊富なボキャブラリー』とはそういう事です。

では「歌詞らしい」「歌詞に相応しい」「歌詞に適した」
言葉とはいったい何か?それをどう手にすればいいのか?

…それは次回のお楽しみという事で、いかがでしょう?

*今日のアフィリエイト*
SHARP Papyrus PW-A8400-S

とはいえ何かと便利な電子辞書。
費用対効果は計り知れないかも。

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2006年5月 1日 (月)

第1回

*イントロダクション*

このブログの目的は二つ。

1)筆者の持てるノウハウを社会に還元する事。
2)筆者が当ブログを通じWeb2.0を体感する事。

「1)」が果たされた結果「2)」に繋がるかと。

で、筆者についてはプロフィールを参照頂くとして
具体的に何の「ノウハウ」を公表し、還元するか…
タイトルはズバリ

『作詞の教科書』

です。

音楽全般を生業にしてきた筆者の、最も苦手科目だった
「歌詞を作る」という作業…音楽諸般について初心者が
学ぶ場合、まず「教則本」の類いを手にするのが一般的。
楽器、ボイトレ、作曲含む理論全般やデビューの仕方等
世の中には沢山の音楽知識があふれています。とりわけ
「作詞」に関しては様々なスタイルのテキストが存在し、
その大半が初心者に役立つ訓示にあふれたものばかり…。
(実際筆者も過去に素晴らしい書籍から学んできました)

ただ残念ながら、それらの多くが「ものの見方」や
「感情論」に終始し(勿論それらも大変重要ですが)

『道端に咲く花を見て美しいと感じる心を磨こう』

的結論に読者が落ち着かざるを得ないのもこれまた事実。

では実際どうやって磨いた心の叫びを形にすればいいの?
花を見てあふれ出す感情はどう言葉にするの?それをどう
一曲にまとめたらいいの?そもそも自分に才能はあるの?
何をやれば、どうすれば「作詞」ができるようになるの?

…答えは簡単。これから始まるブログ『作詞の教科書』の
内容を真に受け実行する事です。これはずぶの素人だった
筆者がいかに作詞力を身につけてきたかの回顧録でもあり、
(結果オリコン1位!今では最も実りある仕事の一つです)
もし貴方がこのブログを読む事で筆者と同様、自らの胸の
内に秘めた作詞力を見事開花させる事が出来たとしたら…
その時こそ正に冒頭に挙げた目的が達成された記念すべき
瞬間だと思うのですが。いかがでしょう?

*今日のアフィリエイト*
企画の教科書

タイトル『作詞の教科書』の由来。
企てを企む…大変勉強になります。

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